週刊誌の看板を背負って仕事をさせる

数々のスクープを連発し、世間から注目を集めている写真週刊誌。その編集部では、どのような社員教育が行われているのでしょうか。編集部の社員は「さまざま交渉や取材に臨む際に、怖くて現場に向かえなくなることはありませんか?」と、よく質問されるそうです。写真週刊誌の現場では、突然の交渉や取材に対して素直に応じてくれる人ばかりではなく、時には暴力を振るわれそうになることもあるからです。そこで社員教育では、「写真週刊誌の看板を自分が背負っている」というマインドを根付かせることが最優先に行われます。ひとりの社員が取材対象からどう思われるかよりも、写真週刊誌全体がどう思われるかを考えさせるのです。

写真週刊誌という看板の後ろには、たくさんの読者がいます。編集部の社員たちは、たくさんの読者の「もっと知りたい!」という要望に背中を押されることが多いそうです。看板を背負わせることで「自分はたくさんの読者を代表して取材をするのだから、やはり質問すべきことはきちんと質問しなければならない」という気持ちになります。現場で取材相手を心地よくさせて、上手く迎合するやり方を教えることが教育ではないのです。

仕事の到達点を明確にする

取材方法を教育する前に、そもそも何のために仕事をするのかを示すことも社員教育のなかで行われます。編集部の若手社員に「優れた先輩社員には、どのような特徴がありますか?」と質問すると、共通して返ってくる回答があります。それは「ゴールを明確にしたうえで、教育してくれること」です。「こういうふうに取材をしなさい」と教育されたときに、それを実践した先にどんなゴールがあるのかという到達点も示されていると、取材をする意味がよく理解できます。目指すべきゴールを明確にしながら社員教育をすることで、目の前の仕事に取り組む姿勢が変わってくるのです。その結果、取材のクオリティも向上していきます。

芸能人に張り込みをする仕事を教育するのであれば、「なぜこの場所で、張り込みをするのか」「芸能人に直撃することによって、最終的にどのような記事ができるのか」を最初に伝えます。そうすることで若手社員は「この記事を出版することで、どんな反響があるか」ということも主体的に意識できるようになります。優れた先輩社員というのはゴールを示すことで取材に対する姿勢が変わることを知っているため、「とにかくこの場所で張り込め」「とにかくこの質問をしろ」といった単純な社員教育はしないのです。

社員教育を機能させて、人材育成を行うには明確な目的意識、計画、そして対応する人事評価制度が必要です。